TINY GARDEN 蓼科

冬の蓼科湖は個人的に大好きな探鳥スポット。ほとんど人がいない湖畔でひっそりと鳥見が楽しめるし、何と言っても蓼科湖は小さいところがいい。
警戒心の強い水鳥は湖の真ん中へんにいるため、大きい湖だと双眼鏡レベルでは観察できないけれど、蓼科湖くらいの大きさなら真ん中へんの鳥たちもそこそこ見ることができる。
数年前の同じ時期に訪れて初めて出会ったカワアイサにまた会いたくて、蓼科湖畔に1泊することにした。

折しも寒波が到来していて、茅野駅で降りると晴れなのにチラチラと小雪が舞っている。
まずは腹ごしらえをすべく、駅近にある馬肉専門店のさくらさくへ行ってみた。

予約してないと無理かな~と思いつつお店に入ってみると、オフシーズンだからか空いていて、すぐにカウンター席に通して頂けた。
ユッケ丼やステーキ丼など魅惑的なメニューが色々あって目移りしてしまうけれど、やっぱり王道の馬刺し定食にしよう♪

さっぱりしたモモ肉の馬刺しを3種類の薬味(わさび・おろし生姜・にんにくスライス)で味わう。肉じゃがの小鉢がついているのも嬉しい。
おろし生姜が一番好きだけど、にんにくも意外と爽やかな風味で合うなぁ。
久々に馬刺しが食べられてすごく満足。やっぱり美味しい💛
先週約4年ぶりに風邪をひいてしまい、病み上がりで弱っていた身体に力がみなぎる気がした。

食事を終えて店を出た後、駅のおみやげ売場で塩羊羹やおにぎりなどを買ってからバス乗場へ。ベンチに座ってしばらく待つと北八ヶ岳ロープウェイ線のバスがやって来た。バスに乗ると25分ほどで蓼科湖に到着。

蓼科湖の周りは道が整備されていて歩きやすい。
チェックインにはまだ早いので、まずは双眼鏡を取り出して鳥見を楽しむことにした。
最初に目に入ったのはカルガモオオバンだった。意外とカモの姿が少ないなぁと思いつつ進んでいくと、徐々にコガモキンクロハジロの姿が見えてきた。
湖の対岸あたりまで来ると、マガモの群れとホシハジロの群れがいた。
蓼科湖からは横谷峡へ続く散策路に入ることもできる。いつか横谷峡も夏鳥の季節に歩いてみたい。

さらに先へ進むと、湖の真ん中へんにカワアイサの群れがいるのを発見した。やっぱり来てくれていた♪
カワアイサは体格が大きめで、真っ白な胴体部分が遠くからでも目立って見える。
オスは特徴的な形の深緑色の頭にスッと伸びたオレンジ色のクチバシがスタイリッシュ✨
一方、メスは茶色い頭がなぜかボサボサしていて、それがなんとも可愛い感じ。
前に来たときは数羽しかいなかったのに、今日はざっと数えて40羽くらいいる!
湖畔にはベンチや東屋もあって、のんびり座って鳥を眺めることができる。

周りの木々からも色々な小鳥の声が聴こえてきて、姿は見つからなかったけどシジュウカラコゲラエナガカワラヒワジョウビタキなどがいるようだった。
それにしても寒波のせいですごい底冷え💧
しばらく鳥見をしていただけですっかり手がかじかんでしまい、双眼鏡のピントを合わせるのも大変になってきた。
そろそろチェックインの時間なので、いったん宿に入って暖を取ることに。

今回泊まるTINY GARDEN 蓼科はロッジとキャビン、キャンプ場で構成された施設で、アパレルブランドのアーバンリサーチが運営している。2019年にオープンしているけれど、新たに建設された訳ではなく、元々この場所にあった宿をリノベーションしたものらしい。
キャビンもなかなか素敵な雰囲気なのだけれど、やっぱりトイレがついていた方が良いので、ロッジの和室を予約しておいた。9畳の広々した和室は窓が2面あって、とても開放的。
エアコンの他にガスヒーターが設置されていたけれど、エアコンだけで十分暖かかった。

片方の窓の外には隣の建物が見えるだけで、別荘地の中にいるような気分。
もう片方の窓からは湖が眺められる。

トイレと洗面所はクールなグレー系の色調。

部屋に用意されていた薄手タオルがTINY GARDENのロゴマーク入りでお洒落。いつもはこの種のタオルには手をつけないのだけど、作りもしっかりしているので欲しくなり、珍しく使わせてもらうことにした。
壁のフックにはトラックの幌をリサイクルして作ったという真っ赤なバッグが掛かっていて、「ご自由にお使いください」と書いてある。

こんないいものが用意されている一方で、ちょっと残念だったのは浴衣がなかったこと。温泉旅館というよりはキャンプ施設という感じの宿なので仕方がないのかもしれないけれど、アパレルブランドらしいお洒落な館内着などあったら嬉しいなと思った。

しばらく部屋にいたら身体が温まってきたので、真っ赤なバッグを持って再び鳥見散歩に出かけることに。

湖畔に戻ると、さっきのカワアイサの群れに1羽だけミコアイサのオスが混ざっていた!
ずっと会いたいと願っていたミコアイサが蓼科湖に来てくれたとは✨
カワアイサたちと一緒にいるとミコアイサは小さくてパンダ顔で、反則級に可愛い…。
やっぱり色々な鳥に会うには時間帯を変えて来てみるのが大事だな~と痛感した。
思いがけない出来事でルンルン気分になりながら湖畔を半周し、バス停近くにあるケーキ屋さん「たてっくる」でティータイムにすることに。

ラズベリーソースが添えられた洋梨のシーブストとカプチーノ
美しい盛り付けで、もちろんお味もとっても美味しい♪
静かな湖畔を眺めながら幸せなティータイムを過ごし、やっぱり冬の蓼科湖はいいなぁと思う。夏や紅葉シーズンはきっともっと混んでいて、印象がかなり違いそうな気がする。
食べ終わる頃にはそろそろ暗くなって来たので、夕暮れの湖の景色を味わいつつ宿に戻った。

今回は湖畔に泊まることが最優先だったので温泉はなくてもいいかと思っていたのだけれど、TINY GARDENには温泉もある。冬の鳥見で冷えた後に浸かる温泉は、やっぱり嬉しい。

浴室に入るとうっすら塩素臭がしたけれど、循環ろ過のお湯であることは分かっていて過度な期待はしていなかったので、特に不満はなく。
サラサラした感触でクセのない弱酸性のお湯で温度も丁度良いので、ずっと浸かっていたくなる。
ただ、なぜか蓼科のお湯は皮脂を洗い流す作用が強い気がするので、あまり長湯はしないようにした。(それでもすぐに指先がパサパサになった。)

お風呂の後は、部屋の前にあるちょっとした図書コーナーで八ヶ岳ライフの本や料理本を選び、のんびり読書を楽しむことに。

この部屋にはテレビがないところが静かな湖畔のロケーションに合っていてとても良い。
「赤松のお茶」というちょっと変わったティーバッグが置いてあったので、それを飲みつつおにぎりを食べた。確かにふわ~と松の葉の香りが漂う、不思議な感覚のお茶だった。
この後はもうお風呂にも行かず、健康的に早寝した。

+ + + + + + 就 寝 + + + + + +

朝6時すぎに目覚めると、空はうっすら白み始めており、カモたちがグァグァ鳴く声が湖から聴こえてくる。このひとときを味わうためだけにでも湖畔に泊まりたい!と思うほど、冬の朝の湖畔の雰囲気が好き。
朝もちゃぽんとお風呂に浸かってから、朝食を頂きにレストランへ。

レストランの片隅では薪ストーブに赤々と火が燃えていて、とても雰囲気がいい。
窓際に並べられたジュースやコーヒーはセルフサービスで、食事はワンプレートで提供される。

この日のワンプレートのお料理は、地元野菜のリーフサラダ、塩ベーコン、豆腐フリット、季節野菜のキッシュ、自家製鶏ハム、キャロットラペ、豆乳味噌グラタン(真ん中の丸いやつ)、デザートのりんご。
パンかご飯、豚汁か野菜スープが選べるようになっていた。
どれもこれもとっても美味しい💛 特に、驚くほど柔らかい鶏ハムと、さつまいもなどの野菜とたっぷりチーズが入った豆乳味噌グラタンが絶品だった。
お願いすれば色々とおかわりもできるようだったけれど、ちょうど良く満腹になったので、今回は遠慮しておいた。
でも、食欲モリモリな体調の時だったら是非ともおかわりしたい!と思う素敵な朝食。

チェックアウト後、バスの時間まで1時間ほど間があったので、最後の鳥見を楽しんだ。

昨日は姿が見えなかったカワラヒワジョウビタキが、よく目につく木の枝の先に止まっていた。
マガモたちは朝日を浴びて、緑色の頭が艶やかなビロードのように輝いている。
カワアイサ御一行と行動を共にしていたミコアイサが、今日は2羽に増えていた。いつ合流したんだろう。
湖の上空には時折カモたちを狙う猛禽が現れるので、その気配を察知したのか、急にカワアイサたちが一斉にドボンドボンと水に潜り始めた。一糸乱れぬ集団行動が圧巻で面白い。
対岸を眺めると、水際にゴイサギチュウサギダイサギかも?)がうっそりと佇んでいる。
本当に色々な鳥たちが集っていて、いつまでも眺めていたいけれど、残念ながらバスの時間になってしまった...
また今度来た時にはきっと新しい顔ぶれの鳥たちに会える気がするので、再訪するのが楽しみ。

=Memo=
1泊朝食つき 14,540 yen
朝食@レストラン
Check in 15:00/out 10:00
温泉:泉質不明(pH5.25)
   「温泉法第2条に規定する温泉資格を有す」という謎の記載だった💧