いつの間にか季節がうつろい、秋になった。10月に入るとようやく太陽が復活して、爽やかな秋晴れの日が続いている。それなのに、なぜかこのところ心がパサパサしていて、何をしてもあまり楽しくないし、やる気も出ない。そんな有様なので、温泉に行くのにウキウキした気分にもならず、淡々と荷造りをして出発した。
天気予報が「今日は暑くなります」と言うのを素直に信じて半袖1枚で出かけたら、そんな服装の人は誰ひとりいなかった。上田駅で新幹線を降りると、結構空気がひんやりしている。
ちょっと間違えたな💧と思いつつ、しなの鉄道に乗り換えた。(しなの鉄道でもsuicaが使用可能になっていて、乗り換えが便利になった。)4駅なのですぐに戸倉駅に到着し、散歩がてら温泉街に向けて歩き出す。
以前来た時は路線バスに乗ったのだけれど、ちょうど良い時間帯の便がなくなってしまったので仕方なく。歩くと30分くらいかかるのでそれなりに遠いけど、ゆったり流れる千曲川を眺めつつノンビリ橋を渡るのも悪くない。

有田屋さんに到着すると、玄関に「歓迎 〇〇御一行様」の札が掲げられており、今日は自分を含めて3組のお客が泊まるようだった。

朝食のみのプランにしたけど前払いではなく、可愛い感じの若女将さんが速やかにお部屋へ案内してくださった。こぢんまりしたお宿なので、帳場からすぐのところにお風呂があり、その目と鼻の先にお部屋がある。ものすごく移動が楽。
広々としたお部屋には空気清浄機や炭が置かれており、空気に気を使われている印象。広縁の外に広がる個人宅の庭のような光景に心が和む。

きれいな洗面台と手摺りつきトイレも備わって、申し分なく使い勝手の良いお部屋。


まずは一服しようとお茶を淹れた。レトロなタイガー魔法瓶に熱湯が入っていて、こういうのは最近珍しいなと思った。

小ぶりの急須でお茶を注ぐのがおままごとっぽくて楽しい。「あんず姫」はあんずジャム入りのもなかだった。甘酸っぱくて美味。
2ヶ所ある内湯は空いていれば24時間いつでも入れて、予約する必要はない。制限時間も特に設定されていなかった。部屋を出て数歩で確認できるので空き状況を見に行ったら、どちらも使用中だった。また後で出直すことにして、しばし部屋で温泉の説明など見て過ごす。

こちらのお湯は美肌効果に優れているらしい。(若女将さんの手書きの文字が美しい!)
かなり熱いということで、浸かる前にしっかりかけ湯するよう推奨されている。成分も濃いようで、湯あたりに関する注意事項が記載されていた。最初からあまり長湯しない方が良さそう。
そろそろ空いたかな?と出直してみると赤のれんの方が空いていたので、入ってみることに。

入る時に「使用中」を表にして、出る時は裏返すというシンプルなスタイル。
赤のれんのお風呂は畳敷きだった。

思ったほど硫黄の匂いは強くない。とは言え、湯口や木の縁に白い湯の花がこびりつき、カランの金属部分がすごいことになっているのを見ると、成分の濃さが伺える。


畳敷きの床ってどこからシャワーの水が排出されるのだろうと不思議に思いつつ身体を洗い、推奨通り足先→膝→お腹と上に向かって掛け湯をしてみると、それほど熱くはなかった。
さて浸かるぞ!と足先を入れてみると、確かに熱めではあるけど普通に浸かれる温度。44℃の源泉をかけ流しているので、いい塩梅に熱めの適温という感じ。
浸かってしばらくすると、なぜか鳥肌が立ってきた。じわじわと温泉成分が身体に染み込んでいくような独特の気持ち良さ✨
成分が濃くても肌がピリつくことはなく、とても優しい浸かり心地。熱めのお湯はすんなり身体に馴染んで意外と長く浸かっていられそうだったけれど、初回なので5分ほどで切り上げることにした。
部屋に戻ると眠くなったので、フカフカの布団で昼寝タイムに。こちらの敷布団はMuAtsuマットレスが使用されていて、確かに寝心地が良い感じ♪
気分よくひと眠りして目覚めるとすっかり日が暮れており、庭の隣にあるパブ(?)でカラオケを熱唱する人々の声が響き渡っていた。飲食店が連なる通りからは喧嘩のような大声も聞こえてきたり、やけに騒々しい。有田屋さん自体は静かなお宿なのだけれど、ちょっと猥雑な感じのエリアに隣接しているので、夜になると周辺が賑わう感じが何だか新鮮。
買ってきたパンで軽い夕食を済ませ、いつものように深夜にお風呂に入りに行くと、青のれんが使用中だった。宿泊客が多くはない割に、意外とお風呂のタイミングが被る。でも、今度は青のれんの方に入ってみたかったので、しばらく待って出直した。部屋とお風呂が近いので、使用中でも落胆が小さくて済むのが良いところ。
空いた頃を見計らって青のれんのお風呂に入ってみると、こちらは普通に石の床で、畳敷きの方より広々していた。

掛け湯は省略したけれど、何の抵抗もなく浸かれる。深めの浴槽に身を沈めて肩までとっぷりお湯に浸かっていると、絶妙な熱さのお湯が病みつきになる気持ち良さ。決してぬる湯ではないけれど、ギャアァ!と驚くような熱さでもなく、ジンジンする感覚を味わいつつずっと浸かっていられる。
美しいエメラルド色のお湯を愛でながら、心をからっぽにして名湯に身を委ねるひとときは、本当に癒される。

部屋に戻るとカラオケは終了していて、辺りは静まり返っていた。
+ + + + + + 就 寝 + + + + + +
翌朝は少し早起きして、まずお風呂へ。今回も青のれんが使用中だったので、赤のれんの方に入った。本当にいいお湯だったな...とすっかり満足して部屋へ戻り、しばらくすると朝食が届けられた。部屋食の朝ごはんは久しぶり。



有田屋さんの名前の由来は、もともと有田焼の行商をしていたことからきているそうで、食事の際の器は主に有田焼が使われている。有田焼は薄くて軽くて繊細で汚れもつきにくく、個人的に大好きなので、自宅でも愛用している。そんな有田焼の器でいただく朝食は何だか嬉しい。
美味しく完食して部屋でくつろいでいると、意外と時間が余った。とりあえず帰り支度をした後、ちょっと見に行ったら青のれんが空いていたので、最後にもう一度だけ未練がましくお風呂に浸かってしまった。
帰りは宿の車で駅まで送っていただいた。気さくな若旦那さんとの雑談を楽しみつつ、あっという間に駅に到着。
有田屋さんの接客は基本的にほったらかし系だけど、こちらから何か訊けば快く対応してくださる感じで、ほどよい距離感が心地良い。そしてエメラルドグリーンの硫黄泉はハッキリと記憶に残る素敵なお湯だった。今度こそ、ぜひともアンズの花が咲く頃に来たいな~と思う。
=Memo=
1泊朝食つき 14,650 yen
朝食@部屋
Check in 15:00/out 10:00
温泉:アルカリ性単純硫黄温泉(pH8.7)
























































































































































