野地温泉ホテル(野地温泉)

今年の夏はいつまでも暑かったけれど、9月の下旬にさしかかった頃からようやく涼しくなり、温泉が嬉しい季節がやってきた。
久しぶりに白濁系の硫黄泉に浸かりたいなぁ!と思い、かねてから行ってみたかった野地温泉ホテルを訪れてみることに。
福島駅から無料送迎バスに乗って約50分。標高1200mに位置する野地温泉までの道のりは車窓からの景色も楽しめ、黄色く色づき始めた木々が霧の中にぼやけて見える様が幻想的だった。
到着してバスを降りると、辺りには硫黄の匂いが立ちこめている💛

送迎バスで到着したお客さんが一気にフロントへ押し寄せたので、少し待ってチェックインを済ませた後、自分で荷物を持ってレトロ感漂う廊下を歩き、2階のお部屋へ。

6畳のこぢんまりした部屋だけれど、見晴らしが良いので狭い感じはしない。
トイレも洗面台も備わっており、申し分なし!

 

野地温泉ホテルにはお風呂がたくさんあって、しかも3時間ごとに男女の入れ替えがあるため、どういう順番で入ろうか...と作戦を練っているうちに頭がこんがらかってくる。
お茶とお菓子で一服しつつひとしきり考えてみたものの、結局なりゆきに任せることにした。

まずは、いつでも入れて洗い場もある大浴場へ行こう♪
白濁系硫黄泉が大好きだけど、これが強酸性だと残念ながら肌に合わず、たいていブツブツが出てしまう。でも、野地温泉はpH6.1なので安心。
やや青みがかった乳白色のお湯に身を沈めると、比較的ぬるめの温度が絶妙で、思わず笑みがこぼれる気持ち良さ。肌あたりが本当に柔らかい極上のお湯で、いつまででも浸かっていられる。ゆで卵臭とはちょっと違う、煙のような、鉄のような匂いが溶け込んでいる感じも良い。
露天に移ってみると、こちらはさらにぬるめ。硫黄の匂いを満喫しつつ、ここに来て良かった...と大満足で最初の湯浴みを終えた。

部屋へ戻ってくつろいでいると、自分自身から硫黄の匂いが立ちのぼってきて幸せな気分に包まれる。湯あがりの肌は少し粉っぽい感じのすべすべ感。
末端の毛細血管が拡張して巡りがよくなったらしく、いつもは冷たい手足の指先がポカポカになっている。そして、このポカポカは夜中まで続いていた。すごい効き目だ...。

夕食は広間にて。
野地温泉ホテルの客層はやや年齢層高めのグループ客が多い印象で、ひとり客はほぼいない。外国人観光客も皆無のように見えた。
席に着くと、あらかじめ大体の料理がセットされていた。

会津巻と里芋の煮物、くるみ豆腐、にしん山椒漬け、柿の器の中身は焼き穴子のみぞれポン酢和え。

鮪とサーモンのお刺身に、紙のようにうす~く切ってモミジの型で抜いた大根が被せてあり、お洒落な趣向。茶碗蒸しにはカボチャ饅頭が潜んでいて食べ応えがあった。

鶏肉のお鍋には色々な種類のキノコがたっぷり入っていて、特に黒っぽくて丸いキノコがトロッとして美味しかった。(初めて食べるキノコで名前が分からず)
朴葉味噌焼きの牛肉も柔らかくて嬉しい。
全体的にサッパリした味付けで好みの料理ばかりだったものの、やはり小食人間にはちょっと量が多く、途中で苦しくなってしまった。。。
この後に続く汁物やデザートを辞退すると、明日の朝食の時にデザートを出して下さるとのこと。大勢のお客さんがいるのに、そんなきめ細かい対応をして頂けるとは驚き!

部屋に戻ると布団が敷かれていたのでバタンキュー✨
食後に電車に乗って家に帰るという面倒がなくて、つくづく宿は最高だなぁと思う。

寝落ちして目覚めると夜中だった。
ちょうどいい塩梅に一番入りたかった千寿の湯が女湯に切り替わるタイミングだったので、1時過ぎに出かけてみた。

館内は静まり返っており、誰ともすれ違わなかったので、これはきっと独泉できる...と期待が高まる。

浴場に入ってみると、やはり誰もいなかった。
鄙びた風情の浴場に源泉が注がれる音だけが静かに響いている。
源泉が流入している一番奥の浴槽はかなり熱めだったので、手前のぬるめの浴槽に入った。この素晴らしい空間を独り占めできるとは、なんという贅沢だろう。。。
静寂の中、夢見心地で極上の湯を堪能した。
千寿の湯の一画には休み処もあり、のぼせてしまったらここでひと休みすることもできる。窓のデザインも素敵で、明るい時間帯にはまた違った風情が楽しめそう。

* * * * * * * * * * * * * * 就 寝 * * * * * * * * * * * * * *

翌朝は早めに起きて、朝食前に天狗の湯で最後の湯浴みを楽しむ。

天狗の湯は内湯の浴槽から引き戸を開けて露天に出られる面白い作りになっているのだけれど、なんとなく一度上がってから普通に露天へ移動してしまった。せっかくだから直接内湯から外に出てみれば良かった...と、あとから後悔。
1泊では全てのお風呂に入りきれず、ちょっと残念だったけれど、今回入れなかった鬼面の湯は次回のお楽しみにするとしよう。

朝食も昨晩と同じ席にて。

イカの塩辛、焼魚、紫蘇巻き、明太子...と、ごはんのお供に嬉しい顔ぶれが揃っている♪
塩辛は変に甘ったるくなく、とても好みの味だった。

豆乳仕立ての湯豆腐と熱々のお味噌汁。
昨晩満腹で食べられなかったデザートの桃のムースも持ってきて下さった。正直、多忙にまぎれて忘れられてしまうだろうと思っていただけに、ちょっと感動。
朝はパクパク完食できて気分も上々♪
チェックインの際、Web予約特典ということで500円分の買物券を頂いていたので、これを使って食後のモーニングコーヒーを楽しむことにした。

ちょっとくすんだ色合いのレトロなロビーで出して頂いたコーヒーは、苦みと酸味がしっかり感じられるタイプだった。カップ&ソーサーもなんだか懐かしい感じのデザイン。
野地温泉ホテルは、奇を衒わずオーソドックスなサービスをきちんと提供している感じがとても良いと思った。出発の前日には確認の電話があり、当日はイベントが開催される都合で送迎バスが駅前に短時間しか止まれないことなど丁寧に説明して下さった。初めて泊まる宿の場合、送迎バスに乗り損ねる恐れが頭をかすめるので有難かった。
コーヒーを飲み終えた後、外に出て少しだけ辺りを散策してみた。

ホテルの裏手から源泉の湯けむりがモクモクと上がっていて、いい雰囲気。
この辺りは霧が出やすいエリアのようで、この日は基本的に晴れだったけれど、時折サーッと霧が出て雨がパラついていた。
近くにはハイキングコースもあるらしく、部屋に地図があったものの、野生動物が出没する可能性があるので1人で歩くのはお薦めしないと書いてあった💧
近年、あまりの暑さで避暑地がなくなりつつあるけれど、ここなら標高1200mだから夏でも涼しいかもしれない。(万が一涼しくなくても、部屋にエアコンがついていたので問題なし)
今回は1泊しかできなかったので後ろ髪を引かれつつ、また来よう!と心に誓った。

=Memo=
1泊2食つき 18,300 yen
夕食@広間、朝食@広間
Check in 14:00/out 10:00
温泉:単純硫黄温泉(硫化水素型)(pH6.1)