小瀬温泉ホテル(軽井沢)

冬とも春ともつかない中途半端な季節の平日でも、軽井沢駅はそこそこ観光客がいた。さすが有名観光地だなーと思いつつ、早めのランチを取るべく駅近のカフェ旦念亭さんへまっしぐらに向かう。
まだ少し雪が残る庭の奥に入口を発見(こちらは裏口だったらしい)。まだ11時過ぎなので、私が一番乗りで、他には誰もいなかった。
チキンときのこのクリームシチューセットを注文すると、お店のお兄さんが「暇つぶしにどうぞ」と、こびとパズルを渡してくれた。これが意外と難しく、苦戦しているうちに料理が来た。
それほど寒くはないものの、暖炉の前で熱々のシチューをはふはふ食べていると、なんだかとても満ち足りた気分になる。シチューが美味しいのはもちろんのこと、パンも香りが良くもちもちしていてすごく美味しかった。食後のコーヒーも酸味が強めで本格的なお味。
こびとパズルが完成しなかったのが心残りだったけれど、バスの時間があるので出発。

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小瀬温泉は草津温泉行きのバスで15分くらいなので、バスに乗るとあっという間に到着した。こんなにアクセスが良いのに、辺りは静かで山奥に来た気分になれるのだから素晴らしい。
2、3日前に降ったという雪が凍り付いていて、バス停を降りてからホテルの入口までの小道がガリガリで滑りやすく、ちょと難儀した。
13時からチェックインできるので、早々に温泉が楽しめる♪

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今回泊まるのは「リーズナブルな和室」で、フロントから離れた方の2階だった。建物が古いらしいのでエレベーターはなく、急な階段がちょっと怖かったりするけど、なんとなく懐かしさを感じる落ち着いた風情の館内。廊下で石油ストーブを焚いていたから、その匂いが懐かしさを醸し出していたのかも。

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こざっぱりした8畳の和室は十分な広さで、明るく居心地が良い。水回りは年季が入った感じだけれど、キレイにお掃除されていて好印象。お湯の蛇口をひねると、ほぼすぐにお湯が出てくるのもありがたい。もしかするとこれも温泉なのか、かすかに温泉っぽい匂いがする気がした。

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窓の外には小川が流れていて、福寿草とおぼしき黄色い可愛い花が咲いていた。
小川の向こうには自然のままの山林が広がり、そこら中から小鳥たちの囀りが聞こえてくる。滞在中、窓辺に座っているだけで、すぐそばの木の枝にシジュウカラコゲラゴジュウカラなどがやってきて目を楽しませてくれた。

さて、まずは誰も来ないうちに温泉へ!

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小瀬温泉ホテルには大浴場が1ヶ所と貸切露天(無料)が2ヶ所あり、最初はとりあえず大浴場へ行ってみた。
奥の段々状のところから滔々と源泉がかけ流されている。身を沈めた瞬間は熱めに感じるけれど、すぐに馴染んでちょうど良くなり、長く浸かっていてもあまりのぼせない。透明でさらっとした弱アルカリの湯で、硫黄ともちょっと違う独特の匂いがする。よく見ると細かい湯の花がたくさん浮いているし、浴槽の底の石がヌルついているので、実は結構成分が濃いのかもしれない。いい湯だな~。

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お風呂から出た後、ちょっと散歩へ。
外から建物を見ると、ロビーに近い2階の部屋にはバルコニーがついている。あのバルコニーから鳥見をしたら、ますます楽しいだろうなぁ。
その下の1階は食事処で、かなり広々している。
玄関のすぐ横のウッドデッキは喫煙所になっているようなので、バルコニー付きの部屋に泊まりたい時は、なるべくロビーから遠い部屋を指定した方がいいなと思った。
さらに奥の林の中まで行ってみたかったけれど、足首までズボッと埋まりそうなくらい雪が積もっていたのであきらめた。

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部屋に戻ってゴロゴロしているうちに夕食の時間になったので、食事処へ。
夕食は「お箸で食べるフレンチ」というコンセプトで、前菜→魚料理→肉料理と順番に出される。前菜はテリーヌ色々。サラダには野菜チップスがトッピングされていて、食感の違いが楽しい。岩魚のムニエルは身がふっくらしていてとても美味しかった。
「仔牛のベーコン巻き」は弾力のあるお肉で、脂身の存在はあまり感じず、部位不明。過去に食べたことがない食感のお肉で、ちょっと不思議な一皿だった。

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フレンチだけど、最後はご飯とお吸い物。長野県はあまり米どころのイメージではなかったけれど、美味しいお米だった。既にかなり満腹になっていたので、ご飯があまり食べられず残念。デザートはマンゴープリン。
全体としてやたらに量の多いメニューではなく、ご飯を除けば完食できた。

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食後にしばし寝落ちした後、また夜中に誰もいない温泉へ。
大浴場は一晩中利用可能なので、どんなに寝落ちしても入りそびれる危険がなくて嬉しい。

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健康的に早起きして朝の入浴を済ませた後、朝食へ。昨日の夜と同じ窓際の席だった。
今日も快晴で、朝の日差しが清々しい。
朝は普通に和食で、おかずも少な目だったので、お櫃のご飯を完食できて満足♪
焼き魚がししゃもというのは珍しいかも。漬物も味が濃すぎず美味しかった。
おしぼりの袋や紙ナプキンに印刷されている小瀬温泉ホテルのマークが鳥デザインで何気に可愛く、気に入ってしまった。
そういえば、「ホテル」を名乗っているけど食事処は浴衣・スリッパOKなのが面白い。

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部屋に戻ったら布団が片付けられていてビックリ!連泊プラン=湯治プランで、布団は敷きっぱにされると思い込んでいたため、これは予想外の展開だった。お菓子や魔法瓶の熱湯も補充されていて、ちゃんとしている。


2日目は白糸の滝の方までハイキングコースを歩こうと楽しみにしていたのだったが、フロントで聞いたら雪で歩けない状態だと言われてしまった。ガッカリだけど、気を取り直して中軽井沢方面へ続く林道を歩いてみることにした。

未舗装のぬかるみ道だけれど、まぁ歩けないこともない。
たまーに車が通っていくだけの誰もいない静かな道に、小川のせせらぎと鳥たちの鳴き声だけが響いている。
聞いたことのない力強い囀りの主は誰だろう…?と思って目を凝らしても、なかなか姿が見つからない。こんな枯れ木ばかりなのに、生き物は動いてくれないと結構見つからないものだなと思う。
上空を猛禽が1羽ずっと旋回していて、それに向かってカケスがジェージェー怒ったように鳴いている。コジュケイがチョットコイ!と鳴いているのも久々に聴いた。フィフィフィフィ…とよく通る声で鳴いているのはゴジュウカラだった。
この林道沿いの木々にはヤドリギ(ちょっとピンボケ↓)がよくあるので、運が良ければヒレンジャクの群れに会えるかもしれない。

あまりに誰もいないし、まだ寒いけど熊が冬眠から覚めないとも限らないと思って、深入りしすぎないうちに引き返した。
車道を渡ってホテルへの小道にさしかかると、キセキレイが姿を現し、物置小屋の屋根に止まって愛想を振りまいてくれた。お腹のレモンイエローがひときわ鮮やかで、とても綺麗な個体。昨日もこの近くでチラッと見かけたから、小川のこの辺りを縄張りにしているのかも。

今日のお昼は貸切露天に行ってみることにして、フロントへ鍵をもらいに行く。貸切露天は予め予約することはできず、入りたい時にフロントに確認して、空いていれば入れるシステムになっている。

脱衣所を出たらすぐ露天。ただ、ドアを出る前にシャワールームがあり、シャンプーやボディソープが置いてあったから、こちらでも身体を洗ったりすることはできる。
大浴場よりも温度が高い感じで、長く浸かっていると結構熱い。
やっぱり外のひんやりした空気の中で浸かる温泉は格別な気持ちよさで、予想外に軽井沢で雪見露天が楽しめたのも満足だった。

 

こたつでゴロゴロしているうちに、夕食の時間がやってきた。
今晩もテリーヌ系から始まり、お魚は信濃雪鱒のソテー サワークリームソース。やはりふっくら仕上がっていて美味しい♪

テリーヌの横にあるのは「蓮の芽とろろ掛け」というちょっと変わったもので、レンコンの芽ということだろうか?特に香りはなく、シャキシャキした歯触りが良い。

 

肉料理は蓼科牛モモ肉のローストビーフ。脂っこくない赤身のお肉で嬉しい。ただ、かなり厚切りで歯ごたえがあるので、これはナイフとフォークがないとちょっと厳しいかも。もうちょっと柔らかいといいのにな~と思いつつ完食。
そしてまたご飯とお味噌汁が出て、デザートはカスタードプリンだった。

昨日の晩より食事処にお客さんが多い印象だったので、お風呂が混むかな…と思い、また夜中に浸かりにいったら誰もいなかった。

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最終日は今にも雨が降り出しそうな曇り空。
でも、せっかくなのでチェックアウト後に小1時間ほど昨日の林道を散歩したら、最後にまたキセキレイが出てきて、今日はガードレールの上で愛想を振りまいてくれた。散歩した甲斐があった(笑)


今回初めて泊まった小瀬温泉ホテルは、本格的な温泉があって静かにくつろげる心地良い宿だった。避暑も兼ねて、今度は夏に来てみたい。

<余談>
宿の玄関前の木に素敵な羽が引っかかっていたのを拾ってきたので、図書館で羽根の本を借りて調べたところ、どうやらホシハジロのお腹の羽らしい。
オナガガモマガモヒドリガモも似たような感じの羽だけど、先端の丸っこい形や模様が薄く繊細なことから、一番ホシハジロが近いように思う。
宿周辺にカモたちが集うような池はなかったから、とても意外だったし、ホシハジロのお腹がこんな色合いだとは知らなかった!
この先、羽集めにハマッてしまいそうな予感。。。

 

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=Memo=
1泊2食つき 13,200 yen(連泊プラン)
夕食@食事処、朝食@食事処
Check in 13:00/out 10:00
温泉:ナトリウム-炭酸水素塩温泉(pH7.6~7.7)